英検イコール学生?いいえ、大人こそ英検を取るべき3つの理由というテーマでお届けします。
英検は学生が受けるものというイメージ、まだまだ根強くありますよね。
もしかするとすでに英検の勉強を始めている大人の方かもしれません。ですが、まだ一度も英検を受けたことがない方にとっては、「英検って学生が受けるテストじゃないの?」と思われるかもしれませんね。
私が「英検を教えています」と言うと、「ああ、学生に英語を教えているんですね」と言われることがよくあります。ですが、「いえいえ、教えているのは大人の方なんですよ」と伝えると、「えっ、そうなんですか?」と驚かれる方も少なくありません。
英検会場に子どもが多いのはなぜ?
実際、英検の試験会場へ行くと子どもが多い印象があります。
その理由としては、中学校や高校で「英検を受けなさい」と先生から指導されることが増えているためです。最近では、大学受験の外部テストとして英検が活用される場面もあるため、高校だけでなく中学校でも受験が推奨されています。
さらに英語教育の低年齢化に伴い、小さい頃からお母さんが子どもに英検を受けさせるというケースも増えています。
このような背景があるため、英検を受けているのは学生が圧倒的に多いのです。
上位級になると内容は“完全に大人向け”
しかし、3級〜準2級くらいまでは確かに学生向けの内容ですが、それ以上の級、つまり準1級や1級になると話は変わります。
準1級になると、受験者の多くが社会人に変わり、一級ともなると、学生の姿はほとんど見られなくなります。むしろ、年配の方やシニア層の受験者が目立つのが実情です。
一級の試験会場で学生服の受験生を見かけると、「おっ、学生がいる」と、逆に驚くくらいなんですよね。
準1級以上では教養・専門知識が問われる
3級から2級程度までは、日常生活や学校の友達同士の会話といった、比較的身近なトピックが中心です。
ですが、準1級や1級になると、教養や専門的な内容が試験の中心になります。
例えば、政治・経済・医療・テクノロジーといったトピックが取り上げられます。
これらは学生にとってはもちろん、大人にとっても難しいテーマですが、特に準1級・1級では、単なる語彙力や文法力だけでなく、大人としての教養レベルも問われる試験になっているのです。
学生と大人で異なる「英検を受ける目的」
学生にとって英検は、自分の英語レベルを確認したり、受験に活用したりといった目的が中心です。
「受験で有利になるから」と受ける方が多いですよね。
では、大人が英検を受ける目的とは何なのでしょうか?
今日の本題はまさにここ。
次に、「大人が英検を取るべき理由」を3つに分けて、詳しく解説していきます。
1つ目:英検は大人の英語力の証明になる
まず1つ目なんですけれども、英検は大人が自分の英語力を証明する手段として強い武器になるんですね。英検を英語力の証明として使う場面で、転職や就職市場、つまり民間企業ではTOEICがよく使われていますよね。実際、TOEICのスコアを見ている企業が多いのは事実です。
ただ、最近では外資系企業や金融系の会社など、民間企業でも英検を見るところが徐々に増えてきているようです。最近、個別相談に来られた証券会社にお勤めの方が、「うちの会社ではもうTOEICって古いよね、っていう話になっていて、Versantや英検の準1級を重視するようになってきています」とおっしゃっていて、「あ、そうなんだ」と私も驚きました。
このように、英検も見直されてきているんですね。英検を持っていると、「アウトプットの勉強もしてきたんだな」と伝えられるという点も評価される理由です。
また、教育業界ではやはり英検の方が強いです。英語の先生を目指す方は、TOEICよりも英検を取得すべき、または英検を持っておきたいと考えている方が多い印象ですね。
つまり、英検は自分の英語力を証明するものになるんです。特に2級以上からは履歴書に書けますし、準1級を持っていれば「この人は英語ができる」という印象を持たれるようになります。
2つ目:英検対策を通じて得られる英語力
2つ目は、英検対策で得られる英語力についてです。
英検では英単語をかなり覚えなければいけません。語彙問題がたくさん出るので、単語の暗記が必要になります。そうして覚えていく単語の中には、海外のネットニュースや英字新聞で使われているような、時事問題に関連する難しい単語も多く含まれているんですね。
つまり、英検の勉強を通じて語彙を増やしていくことで、さまざまなジャンルの文章が読めるようになります。特に準1級や1級の単語を覚えておくと、ニュースや新聞を比較的スラスラと読めるようになります。語彙力がつくことで、読める英文の幅もぐんと広がるわけです。
もう1つが読解力です。英検の文章は、級にもよりますが、準1級や1級になるとTOEICのReadingよりも文構造が難しくなり、語彙も難しくなります。
ただ、その難しい英検の文章が読めるようになると、日本語でビジネス書を読むような感覚で、海外のニュースやビジネス記事もスラスラ読めるようになるんです。これは語彙力に加えて、読解力、つまり「読み解く力」が英検対策によって養われるからですね。
そして、リスニングです。たとえば、1級のリスニング問題の内容というのは、だいたいCNNやBBCなどと同じようなものになります。英検のリスニングは、決して極端に速いわけではありませんが、ニュース系の内容を聞き取れるようなリスニング力がついてきます。
さらにスピーキング。これはTOEICにはないセクションですね。自分の言いたいことを英語で話すという思考回路を鍛えることができますし、アカデミックライティングの練習もするので、論理的に自分の意見をわかりやすく話すスキルや書くスキル、つまりアウトプット力が養われます。これはビジネスの場面でも使える力です。
3つ目:英検は大人の英語やり直し学習に最適
3つ目の理由は、英検が大人の英語のやり直し学習にぴったりだという点です。
英検は、級を1つずつ上げていきながら、先ほどお伝えしたような英語力を段階的にスキルアップしていけるんですね。
たとえば、TOEICやTOEFLなどの他の試験は基本的に1種類しかなく、すべてのレベルの人が同じ試験を受けることになります。そうすると、TOEICには上級者向けの難しい問題も含まれているため、初心者が受けようとすると、全然解ける問題がなくて心が折れてしまう、ということがよくあるんですね。
その点、英検はレベルに応じて5級、4級、3級、2級、準1級…と段階的に分かれていて、上位級ではさらに細かく区切られています。自分のレベルに合った級から、無理なく目標設定して取り組むことができるんです。
たとえば、いきなりTOEICのような難しい試験に挑戦して挫折するのではなく、まずは中学校レベルからやり直して、3級を受けて4技能(読む・聞く・話す・書く)をバランスよく学ぶ。そして3級に合格したら、次は準2級へ…というように、自分に合った試験を選びながら段階的にスキルアップしていけるんですね。
こうして達成感を味わいながら、基礎を取りこぼすことなく、英語力を着実に伸ばしていける。そんな仕組みになっているので、英検は大人の英語やり直し学習にぴったりなんです。
まとめ:大人が英検を取るべき3つの理由
ということで、大人が英検を取るべき理由は以下の3つです。
- 自分の英語力の証明として強い武器になる
- 英検対策で4技能を含む実践的な英語力が身につく
- 英語のやり直し学習として、段階的にレベルアップできる
英検は「学生が受けるもの」と決めつけず、大人でも自分の英語力を高めるためのステップとして、ぜひ有効活用していただければと思います。