さて、今日はTOEICについて話していきます。僕自身、最近また「年収上げたいなぁ」と思うようになって、次にやるべきことってなんだろうって考えたんですよ。その時に、「あ、英語だな」って思ったんですよね。
そこで今回は、TOEICのスコアを上げると本当に年収が上がるのか、というテーマで田村さんにお話をうかがいたいと思います。
これは僕が言い出したわけじゃなくて、勝間和代さんが10年か15年くらい前から言ってる話なんですけど、例えば、年収600万円の経理の人がいたとします。30歳でTOEICのスコアが500点くらいだった場合、そこから100点上がるごとに年収が1割ずつ上がっていく、っていう話なんですよ。
つまり、500点の人が900点になったら、400点アップですよね。年収も4割増えると。もともと600万円だったら、840万円になるという計算です。
なぜそうなるかというと、TOEICのスコアが500点を超えて上がると、外資系企業に転職できる可能性が高くなるんです。同じ仕事内容でも、外資系に転職すれば給料は基本的に上がります。
例えばTOEICで900点を取ったら、日本にある「なんちゃって外資系」でも、社内資料やメールでは普通に英語が飛び交っているような職場では、十分にやっていけるレベルです。業務内容が経理や人事などで、仕事自体のスキルはあるけど英語力が足りないって人には、英語を身につけるだけで年収が大きく上がる可能性があるんです。
外資系に行くのが前提かと言われると、それだけじゃないと思います。最近は経理職も人手不足ですから、「うちから辞められると困る」といって、外資系で800万円出てるなら、うちもそれくらい出さなきゃなって、釣られて年収が上がることもあるかもしれません。ただ、それはあくまで希望的観測であって、必ずしも実現するとは限りません。もし実現しなかった場合は、転職という選択肢もアリですけどね。
ちなみに田村さんはTOEICを受けたことあるんですか?
田村さん: 最後に受けたのは10年以上前ですけど、一応何度か受けましたよ。7〜8回くらいかな。
スコアはどれくらい取ったんですか?
田村さん: 最後に受けた時は890点でした。
それって、TOEIC990点満点のうち890点ってことですよね?9割くらいできてたってことですよね。
田村さん: そうですね。TOEICの公式見解でも、860点以上あると「非ネイティブとして十分なコミュニケーション能力がある」とされていて、Aランクってわけではないんですけど、評価は高いです。
TOEICのスコアにはだいたいボーダーがあって、860、730、600点っていうように分かれてるんですよね。たとえばソニーや三菱商事みたいな大手企業だと、730点が1つのラインになっていて、「730点以上じゃないと海外出張NG」みたいな社内ルールがあることも多いです。
まあ、そういうルールがあるのは当然で、英語できない人が海外出張に行っても仕事になりませんから。
日本人の感覚からすると、730点って英語がちょっと得意なくらい。860点あれば、かなり得意な方になります。でもTOEICってリスニングとリーディングだけで、スピーキングとライティングがないので、アウトプットの力は測れないんですよね。
それでも、TOEICのスコアが高ければ、海外出張のチャンスがあったり、英語が必要な部署に配属されたりと、「足切り」に遭わないという意味では重要です。
田村さんは、当時なんでTOEICを勉強されたんですか?
田村さん: 英語くらいできないと恥ずかしいかな、と思ったのがきっかけですね。ちょうどライブドア時代だったんですけど、Googleとかのイベントや社内カンファレンスに呼ばれることが多くて、会社を代表して話したり交渉したりする立場になると、英語ができないと会社全体がバカだと思われかねないんですよ。
英語でコミュニケーションを取る必要は、やっぱりあったんですね?
田村さん: はい、完全に必要でした。もう今さら「英語って必要なんですか?」って話をするのもどうかと思うんですけど、未だにそういう話が出るのが不思議なくらいです。
でも、僕の周りで英語を仕事で使ってる人って本当にいないんですよね。
それはたぶん、そういうレイヤーの企業にいるってことですよ。要はブラック企業寄りの環境ってことかもしれません。
動画編集の仕事とかしてても、たとえばYouTubeの最新アルゴリズムとか、YouTubeがクリエイター向けに出してる資料って英語のままのことが多いですよね。ああいうの読もうとするとき、翻訳ツールを使ったりすることもあるでしょうけど。
最近はChatGPTとかもあるし、翻訳する手段はいろいろありますよね。それ自体は別に悪くないですし、アレルギーが出ない程度なら全然使ってもいいと思います。
ただ、翻訳って時々ミスがあるので、「あれ?なんかおかしいな」って気づけるレベルの英語力は最低限持ってたほうがいいんですよ。たとえば、間違った翻訳のままクライアントに渡して「中山くん、これ意味わかってる?全然違うじゃん」って言われた時に、「すみません、英語苦手でChatGPTの翻訳をそのまま使いました」って言ったら、やっぱりかっこ悪いじゃないですか。バカみたいに思われるのは嫌ですよね。
それでも、翻訳ツールを使って勉強しようって姿勢はいいと思いますよ。最近は本当にいろんな翻訳サービスがありますからね。
でも、こうやって便利なツールが増えた結果、英語の学ぶ力って逆に削がれてる部分もあると思うんです。
英語の需要ってどうなんでしょう?ちょっと前ほどじゃない気もしますが…。
それでも僕は、やっぱり英語って大事だと思うんですよね。別の視点で言うと、高卒とか大学中退とか、Fラン大学出身とか、いわゆる学歴にコンプレックスがある人って結構いるじゃないですか。
そういう人が今さら大学入り直すってなると、25歳とか30歳で結構ハードル高いですよね。そういう人にとって、TOEICのハイスコアを履歴書に書くって、すごくコスパの良い方法なんです。
実際に英語を使うかどうかは別として、日本人の普通の経歴でTOEICのハイスコアを取れるってことは、それなりに頭の回転が速くて、必要なことにはちゃんと努力できる人なんだなって印象を与えられるんです。
そうやって見てくれる企業って、結構あると思いますよ。
昔のお見合いとかで「茶道」とか「ピアノ」って書くのと同じで、それ自体をやるかどうかは関係なくて、「ちゃんとした家のお嬢様です」っていうシグナルになるんです。
それと同じように、TOEICのハイスコアっていうのは、「ビジネスマンとしての戦闘力ありますよ」っていう、嫌味なく見せられる指標だと思います。だから、早く800点とか900点を取っておくのがいいと思いますよ。
TOEICスコアと英語力についてのリアルな話
カメラが回っていないときに「俺の周りにはTOEIC700点以下の人はいない」とおっしゃってましたけど、ちょっと闇を感じますよね。でも実際のところ、本当にそうなんですよ。恥ずかしくて点数を言えないって人も多くて、言ってくる人はそれ以上のスコアの人ばかりなんです。
ちなみに、TOEICの点数に関して僕が面接で思うのは、600点未満なら絶対に書かない方がいいということ。450点とかは書かない方がいいです。プラスにはならないので。700点台って微妙なラインで、日本人としてはそれでも結構頑張ってる方だと思うんですよ。だからあと少し頑張って800点台、できれば900点まで行けば大きな差がつくし、一段上に行ける。そういう意味で「800点を目指そうね」ってことですね。
理想としては、やっぱり800点台後半から900点あたりが望ましいと思います。とはいえ、そもそもTOEICを受けてるのって、日本人と韓国人くらいらしいですね。ほかの国ではあまり流行っていないらしいです。
なんで日本でこんなに流行ってるんでしょうね?日本人って、そういう検定とか好きじゃないですか。幹事検定とか。英語に関して言えば、話す能力の方が大事に思えるんですが、東大とかもそうだけど、元々は「番所調所」っていって、海外から輸入した本を調べて分類する場所から始まったんですよ。
東大というのは、もともとそういう場所だったので、日本におけるインテリっていうのは、海外の知識を日本語に翻訳して紹介することが、頭の良い人たちの権威の源だったんです。だからまずは、自分から発信するんじゃなくて、書いてあることを読める能力が求められてきた。それは今でも変わらないと思います。ネット時代になっても、やっぱり英語で検索できることが大事ですし、日本においては今もそこが重要なんだと思います。
とはいえ、英語を読めるようになるってことは、利用価値も高いんですよね。なんだかんだ、英語の情報が日本語で手に入ると助かるわけで、みんな英語を喋れないし読めないからこそ、文章を読めるってのはやっぱり強い。生身の外国人と話す機会よりも、文章で英語に触れる機会の方が圧倒的に多いですからね。
もちろん、生身の外国人を相手にするなら会話力が必要ですけど、本やウェブサイトであれば、基本的に文章が読めれば意味が取れる。だからこそ、最低限の基礎、つまりリーディングはすごく大事なんです。読めない文章は書けないし、話すことも難しい。
「話す能力が一番大事」っていうのも分かるんですが、それって理想論であって、実際はすごく難しい。いきなり「話せ」っていうのはハードルが高すぎると思います。
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田原さんの英語力と学習法
ところでTさん、英語話せますか?
「話せる」というレベルにもよるけど、まあ話せるんじゃないですかね。最近はあまり使ってませんが、コンデナストにいた時代は、英語を使うことも多かったですよ。上司がイギリス人で、ロンドンとも直結していたし、年に2回くらい1週間ほどロンドンに行ってました。
あと、LINEの時も英語でプレゼンしたこともあるし、パネルディスカッションもありました。一時期はかなり話せたと思います。でも今はその能力が1/3くらいになってると思いますね。
ちなみにその頃はTOEICで890点くらいあった気がします。ちゃんとスコアを上げて外資系に行くということを、僕自身もやってました。TOEICって、やればやるだけスコアが上がるんですよ。
みんな「楽に痩せる方法ないかな」って考えるのと一緒で、「好きなだけ食べながら、運動もせずに痩せられないか」って探すじゃないですか。それと同じで、英語も「単語を1つでも多く覚えろ」ってだけなんです。魔法みたいに急に英語が上手くなる方法なんてありません。
英語の裏技を聞こうと思ってたんですか?ないです。死ぬ気で努力するしかない。もしくはChatGPTに頼るしかないですね。確かに裏技っぽいけど(笑)。
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実際の勉強法とおすすめ教材
どうやって勉強していたかというと、僕は自分が読んだことのある日本語の本の英訳を読むのをおすすめします。たとえば、村上春樹の『ノルウェイの森』の英訳とか。日本語で内容を知っているから、完全に分からなくても大まかな内容が把握できるんですよ。だから読み進めやすい。
とにかく量をこなした方がいいと思います。びっくりするような近道はありません。僕も含めて、この動画をクリックした視聴者は裏技を探しに来たんでしょうけど、そんなものないんです。
裏技を探してる時間があったら、正攻法で少しでも進めてください。単語を1個でも覚える。魔法はない。今すぐ動画を閉じましょう。
おすすめの教材としては、NHKのビジネス英語の杉田敏先生のテキストがいいと思います。ただし、650点から700点くらいないと、最初からはちょっと難しくて消化しきれず挫折するかもしれません。
まずは試験を受けてみるのがいいですよ。ダイエットと同じで、痩せてから体重計に乗ろうと思ってたら、永遠に乗れませんから。本屋に行けば、点数レベル別のTOEIC対策本がたくさんありますよね。そういうのをやるしかないんです。延々と、です。
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英語とメディアとの付き合い方
今なんか、リスニングなら通勤中にAirPodsでずっと聞いていれば、だんだん慣れてきます。魔法は本当にないと思います。
ドラマや映画で勉強しようと思ったこともありますけど、正直きついです。僕も結局、コンデナストで英語ができる方と言われていたけど、字幕なしで映画を見るのは無理です。分かるセリフもあるけど、ネイティブ同士のナチュラルな会話や抑揚のあるやり取りは本当に難しい。
それだったら、CNNとかのニュース英語の方が全然楽です。映画のセリフって一番難しいですからね。ネイティブに「かっこいい」「気の利いたことを言ってる」って思わせるために、省略やスラング、独特の言い回しが多くて難しいんです。
その点、ニュースキャスターが話す原稿の方がずっと良い。文法通りにきれいな言葉で話してますから。日本で言えば、NHKのアナウンサーが読む日本語を元に外国人が日本語を勉強するようなものです。
もちろん、いきなり漫才を見て日本語を勉強するのもいいですけど、トリッキーなので、基礎がしっかりある人がさらに上を目指すならアリですね。
ただ、ビジネスでやっていく場合、NHKのアナウンサーのようなしゃべり方をしていたら、正確でも退屈に聞こえることがあります。そういう意味では、その先を目指すなら全然いいんだけど、ラッパーのスラングなんかは一番難しい。
たとえば、「swag(スワッグ)」とか。「いけてる」っていう意味で、肩で風切って歩いてる感じ。あとはみんなすぐにFワードを使いたがるけど、ビジネスの場では絶対に避けるべきです。場が凍りますから。
Fワード、Nワード、Sワード(シット)など、使ってはいけない言葉っていろいろあるので、その辺も英語の難しいところですね。