本日は「TOEIC700点到達のための勉強法」というテーマでお話ししていきたいと思います。
TOEIC700点を目指すための勉強法については、これまでにも何度かお話ししてきましたが、この業界では本当に多くの新刊が毎年のように出版されるので、それに合わせて勉強法や使用する教材も少しずつ変化していきます。ですので、今回は2025年版の最新版という形で、改めてお話しさせていただこうと思います。
勉強法の全体像:2つのアプローチ
まず、具体的な勉強法に入る前に、700点に到達するための方法を大きく2つに分けてお伝えしたいと思います。
- 1つ目:「リーディングをゴリ押しするパターン」
特にパート5を中心に演習を重ねて文法力を強化し、得点を伸ばしていく方法です。 - 2つ目:「総合対策パターン」
リスニング、パート5、長文など、すべてのセクションをバランスよく対策していく方法です。
それぞれで必要な対策には多少の違いがありますが、共通して大事な部分については、先にお伝えしておきたいと思います。
ステップ1:基礎の文法と単語力を固める
まず、基礎の英文法や単語の知識は前提として必要です。点数で言うと、500点から高くて600点ぐらいまでの段階では、TOEIC専用の対策というよりは、むしろ中学・高校までの基礎英文法を固めることに力を入れたほうがいいと思います。
この基礎をどうやって固めるかというと、何度も紹介していますが、私のおすすめは以下の2冊です。
- 『大岩のいちばんはじめの英文法』
- 『速読英単語(入門編)』
『速読英単語』の魅力
「速読英単語」は、私が学生時代に本当にお世話になった教材です。今の入門版には、基礎の重要語1400語が収録されています。タイトルの通り、英文を読みながら文中に登場する単語を覚えられるので、文脈の中で単語を身につけることができます。個人的には非常に優れた単語帳だと思っています。
『大岩のいちばんはじめの英文法』で文法を再確認
おそらくご存じの方も多いと思いますが、超基礎文法編として、色分けやイラスト、レイアウトなど、非常に分かりやすく作られています。しかも、冊子自体が薄くてコンパクトなので、負担感なく取り組めるのも魅力です。
1ヶ月で基礎を固めるスケジュール
構成としては、以下のように進めるのが理想です。
- 『大岩の英文法』:全26項目 → 1日1項目ずつ進めて約1ヶ月で完了
- 『速読英単語』:全68章 → 1日5章ペースで約2週間で1周、1ヶ月で2周可能
この2冊を同時並行で1ヶ月集中して取り組めば、基礎はかなり固まってくると思います。
「基礎だけ」では得点が伸びにくい理由
これら2冊だけで500点や600点に到達できるかというと、それだけでは少し難しいかもしれません。というのも、TOEICにはTOEIC独特の問題形式や傾向があるからです。それを知らずに問題に取り組んでも、得点には結びつきにくいんですね。
ステップ2:TOEIC形式に慣れるための教材
初心者におすすめ:『最強の1冊』(浜崎潤之輔先生)
「公式問題集をいきなり使えばいいか?」といえば、実は少し上級者向けです。そこでおすすめなのがこちら。浜崎先生(通称・浜先生)が出された2024年の新刊、『最強の1冊』です。
- TOEICの全7パートを網羅
- 問題形式・解法パターン・解答のコツを解説
- パート別の練習問題つき
特にパート5の文法問題では、構文をブロックでわかりやすく説明しており、基礎文法の復習にも最適です。
ここからが本番:700点を突破する勉強法
ここからが本題、700点という壁をどうやって越えるかです。
方法①:リーディングゴリ押し戦法
私の著書『ロジカル勉強地図』でも紹介していますが、使用する教材は次の2冊。
- 『金のフレーズ(通称・金フレ)』
- 『文法特急』
『金のフレーズ』の活用法
TOEICに頻出の単語をデータベース化した単語帳。1500語収録。1日100語で回せば、3ヶ月で9〜10周可能。とにかく「繰り返し」が命です。
『文法特急』の使い込み方
文法問題を154問収録。私は次のように使っていました:
- 1日で全問を一気に解く
- 間違えた問題やあやしい問題に印をつける
- 印のついた問題だけを何度も繰り返す
- 知らない表現・単語はルーズリーフにメモし、毎回復習する
基礎+形式理解+問題演習で700点突破を目指す
このように、
- 基礎力(文法・単語)を固める
- TOEIC形式に慣れる
- 頻出問題を繰り返し解く
という3段階を踏むことで、確実に700点に近づいていくことが可能です。
パート5の重要性と得点配分について
パート5に関しては、もう安定して9割以上得点できるようになっていて、それが長文のパートやリスニングのスコアアップにもつながっています。だいたい配分としては、リーディングが300点後半、リスニングが300点ちょっとくらいですね。合計で700点というところに到達しました。実際、私が受けたときもそのような配分でスコアを取りました。
演習量をこなしたい人におすすめの教材
もっと問題数をこなしたいという方には、「ロジカルA文法」がオススメです。動画解説付きで全600問が収録されていて、演習量をこなすのにぴったりな1冊になっています。
こういう演習系の教材って、どちらかというと「自分が理解していない部分を発見する」っていう意味合いが強いと思っていて、ここで引っかかった問題っていうのは、単語なり文法なり、何かしら理解できていない部分があると思うんですよね。なので、そういったところをこの演習を通して発見して、しっかりと復習につなげていく。これだけで完結させるというよりは、「知識の補強」として使っていただくのがベストだと思います。
学習期間と進め方の目安
じゃあ、どれぐらいの期間でやればいいのかというと、3ヶ月ぐらいが目安ですね。1日15問のペースで9〜10周できます。「文法特急」という教材も、3ヶ月あれば絶対に終わりますよね。
でもやっぱり、1周しただけでは絶対に定着しません。何周もして、全問正解できるようになるまでひたすら周回する。もちろんその過程で、設問の文構造までしっかり把握して、知らない単語などは別でルーズリーフなどに書き出して覚えていく。ここは本当に“完璧”にこだわって周回していただきたいです。
私が実践した「リーディング特化ルート」
これが、私が実際にやった「リーディングゴリ押し戦法」です。
もう一つが「総合対策ルート」。これはその名の通り、各パートを本当にバランスよく底上げしていくようなイメージですね。
総合対策ルートの特徴と注意点
メリットとしては、もちろんいろんな技能を高めることができて、バランスの良い力が身につくという点が挙げられます。でも逆に言うと、リスニングをやったり、長文をやったりと、やらなきゃいけないことが多いので、「やることが多いな」っていう精神的な負荷はあるかなと思います。
昔だと、今ほど教材がなかったので、バランスよくやろうと思ったら、私なんかは公式問題集などを使っていろんなパートをやっていたんですけど、手を広げすぎてしまって、ちょっと大変すぎて挫折しましたね。
なので、最終的には単語と文法だけに特化しようという形に落ち着いたんですけど、今は本当に使いやすくて、親しみやすい参考書がたくさん出ているので、総合対策ルートで700点を目指すというやり方も、昔よりずっとやりやすくなっていると思います。
初心者向けの一冊と上級者向けの一冊
さっき紹介した「1冊目の教科書」は、全パートをこの1冊で対策できるし、見やすくて読みやすいので、初心者の段階から全てのパートを網羅できるなと感じる教材です。
一方で、上級者向けというか、700点、その先も含めて目指せる1冊が「金のパッケージ」です。これはテックス先生が出された新刊で、すごくいいんですよね。
「金のパッケージ」の優れたポイント
たとえばパート4だったら、パート4でよく出る設問集やフレーズ集が載っていたり、リーディングパートだったら、抑えておきたい主な接続詞や接続副詞がまとめられていたりします。
個人的には、問題演習もできるし、単語帳の役割も兼ねていると感じています。パート1から7までの形式の説明、演習問題と続いていて、最後には「TOEIC超重要単語200」という形で、先生のデータベースから引用された厳選単語200語もまとめられています。
なので、これ1冊あれば「金のフレーズ」を別でやる必要もないくらい、語彙の収録が豊富だなと感じています。ここから身についていない単語を拾って、さっきの文法特急でやったような形で勉強すると、毎朝復習を繰り返すことで、もう単語帳を別でやる必要がないくらい、語彙力がアップすると思います。
総合対策ルートでの学習の進め方
この総合対策ルートに関しては、これ1冊をやってもらえれば十分だと思います。構成としては、パート1から7まで全7セクションがあって、最後に実践模試が1本ついています。
1日1パートずつぐらいで進めればいいと思います。もちろん1周しただけではちゃんと吸収しきれませんし、語彙のセクションも負荷がありますので、そこは何周も何周も繰り返していく必要があります。
丁寧な学習法の指導と活用法
勉強法についても、ものすごく細かく指導してくださっています。問題を解いたら解説を読んで、正解・不正解の理由をちゃんと理解する。そして語注も活用して、問題文と選択肢の単語の意味を理解する。その後は文構造の確認、スラッシュリーディングで英文を前から読んでいく。
さらに音声もついているので、音声に合わせてテキストを見ながら同時に音読する、いわゆる「オーバーラッピング」をします。そして最終的には、音声だけを聞いて英文の内容が理解できるまで繰り返す。
こういった一連の流れが「金の勉強法」として、各セクションごとにまとめられているので、この通りにやっていただくのがベストかなと思います。
効率的な復習法とまとめ
一周していただいた上で、間違えたところや不安なところだけに絞ってやっていただく形でも、十分に費用対効果が得られると思います。そういったやり方でもいいかなと思います。
最後にまとめておくと、まずは基礎文法・基礎単語を固めた上で、形式を勉強する1冊目の教科書をやっていただく。その後は、「文法特急」「金のフレーズ」「ロジカルA文法」を使って知識を強化してください。
そして総合対策の方で行く場合には、「金のパッケージ」を使って、金の勉強法に従って進めてください。
そこからさらに800点を目指すとなると、少し難しめの教材が必要になると思いますが、700点を目指すのであれば、今回ご紹介した勉強法・教材で十分到達可能だと思います。ぜひ参考にしてみてください。